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貴族たちは、グラーティア神聖国から嫁いだよそ者のユリアナより、ルスキニア帝国貴族出身のクリスティナに好意的である。
結局、クリスティナが妃になる未来は変えられないのかもしれない。
そう思っていると、部屋をノックする音が響いた。
「ユリアナ」
それはレクスの声だった。
――ま、待って!? 侍女はなにも言ってなかったわよ?
レクスが来るなら、それなりの心の準備がいる。
「おとーしゃまぁ!」
「どあ、あけりゅ!」
アーレントとフィンセントが我先にと駆け出した。
二人は転びそうになりながら、扉まで行くと取っ手に手を伸ばす。
「う、うーん!」
「もうちゅこし!」
身長が足りずに、扉は開けられない。
しかたなく、ベッドから出て、私が扉を開けた。
「レクス様。どうなさいましたか?」
冷静を装ったけど、レクスの服装は軽装で、シャツははだけている。
――肉体美を披露しなくていいのよ!
目をそらしたいのに、そらせない。
「用事があってきた」
「ご用事ですか? まあ、なんでしょう」
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