2 夫婦の冷めた関係

7/7

1198人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
 二人が並んだ姿は微笑ましく、レクスの冷たい心もクリスティナなら溶かせそうだ。  ――あれ? でも、レクスの冷たい心が溶けたなら、悪逆皇帝にはならないわよね?    未来でレクスは悪逆皇帝となり、今は無邪気な双子の皇子も冷酷な人間に成長した。  それを私は知っている。    ――どういうこと?  考えるポーズをした私をレクスが見ていた。 「どうかなさいまして?」    クリスティナを送ったらと提案したのは、彼女と友達になるのを回避しただけでなく、レクスを私から遠ざけるためだ。  それがわかるのか、レクスはなかなか立ち去らない。 「ユリアナ。どういう心境の変化だ?」  私の態度の変化に、なにかあると察したレクス。  もしくは、ユリアナがなにかたくらんでいると考えたのか。  ――やっぱり侮れない男。  レクスは私に背中を向け、クリスティナとともに去っていった。  妻なのに、それを黙って見送るしかない。  愛されない皇妃ユリアナ――夫婦としての愛情だけでなく、信頼さえも失っていたのである。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1198人が本棚に入れています
本棚に追加