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私がここにとどまろうと決めたのは、アーレントとフィンセントの存在が大きい。
今ならわかる。
ユリアナは家族の未来を私に託したのだと思う。
その気持ちをレクスに伝えたのだから、嘘ではない。
「そうか」
――そっ、それだけ? なにか他に言うことがあるでしょ?
ユリアナに部屋から叩き出されるはずだ。
まったく女心がわかってない。
「おとーしゃま。まくら、ぽーんしよ!」
「付与魔法で枕を投げて遊んでいたのか?」
「ええ。魔法の訓練にもなりますから」
「成長が早いな」
気のせいじゃなかったら。レクスの子供たちを見る目が優しく感じた。
子供たちの成長を感じて嬉しかったようだ。
「もっと大きく育つためには、睡眠が大切です。さあ、眠りましょうか」
「ねむくなーい」
「なーい!」
私とレクスの真ん中で、アーレントとフィンセントは、はしゃいでいる。
「駄目だ。眠れ。成長に睡眠が大切らしいからな。もっと大きくなってもらわなくては困る」
レクスが問答無用で燭台の灯りを消し、暗くなった。
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