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――私、大魔女ヘルトルーデとルスキニア帝国皇帝レクスの出会いは、最悪なものだった。
「お前が大魔女ヘルトルーデか」
金色の髪と氷のように冷たいサファイアの瞳。
その両側には、皇帝レクスに似た双子の皇子が『虫けらども』という目でこちらを見ている。
「大魔女とか、ヨボヨボのばあさんかと思ったら、まあまあの美人じゃん?」
「本当だねぇ。魔女のくせに正義の味方きどりで、俺たちを殺しにきたんだって!」
残忍な双子の皇子として有名なアーレントとフィンセント。
「神殿が魔女を頼るなんて、笑っちゃうなぁ~。でも、しょーがないか。もう何人の神官を殺したか忘れちゃったし?」
「大魔女っていうからには、楽しませてくれるはずだよね。あのクソ弱い神官たちよりはさ!」
子供たちがなにを言ってもレクスは興味がなく、どうでもよさそうな顔をしていた。
彼は玉座に座って肘をつき、私を前にしても挨拶どころか、立つ気配もない。
話には聞いていたけど、態度のデカイ不遜な男である。
「新しい武器が手に入ったところで、やってきてくれるとか、大魔女さんたちは親切だね」
「強い相手と戦ってみたかったんだ~」
皇子たちは私たち、魔女と魔法使いを侮り、おもちゃのように剣を振り回して笑っている。
「私が大魔女ヘルトルーデと知りながら、暴言を吐く勇気だけは褒めてあげましょう。でも、年長者に対しての礼儀がまったくなってないわね」
「俺たちに説教? 年長者だから、無条件で敬えって?」
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