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そう言うと、弟子たちは不満そうな顔をしつつも、おとなしくなった。
弟子たちを信用していないわけではない。
長く私と共に魔法を極めてきたから、腕はたしかだ。
――でも、皇帝レクスは強い。
彼の魔法の才能は私より劣る。
けれど、世界を支配するだけあって剣や弓矢の腕、知略は相当のものだ。
弟子たちが魔法を使う前に殺される可能性がある。
私は大切な弟子を犠牲にしてまで、レクスを倒そうなんて思っていなかった。
ひと癖もふた癖もある弟子だけど、彼らは私にとって、我が子同然である。
「皇帝レクスと戦うのは私よ」
「伝説の大魔女ヘルトルーデが直々に俺を殺すのか」
まだ決まったわけではないけど、その予定である。
「気に入らんな」
私の挑発的な態度に気分を害したようだ。
こっちは、その百倍不快な気分だということを教えてあげなくてはならない。
「数百年生きてきて、子供の癇癪に付き合うのは、これが始めてだわ」
「俺が子供か」
レクスは退屈そうな顔をしていて、私と話すのも面倒そうにしている。
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