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――なんのために世界を支配したのかしら?
世界を支配するという目的を達成し、恐れるものはなにひとつない皇帝レクス。
てっきり、もっと調子に乗っていて、ご機嫌なのかと思っていたのに、そうではなかった。
残虐皇帝一家がなにを考えているかなんて、私にはわからない。
だから、戦う前に話をしてみようと思ったのは、彼らの考えを理解するためでもあった。
「レクス。私は魔女で殺し屋ではないの。だから、まずは話をしたくて、ここへ来たのよ」
「ふん。神殿が俺を殺せと命じたからか」
「命令ではなく依頼ね。私は魔女よ。神殿から命令される覚えはないわ」
神殿からの依頼内容は端的で、『身柄の拘束』などという優しいものではなく、『死』のみだった――
長い説教が大好きな神殿が、今までで一番短い依頼文を書いてきたのには驚いた。
いつも、暖炉の燃料になるくらいの長さで、手紙を書いてくる。
一文で終わるなら、毎回そうしてほしいものだ。
「神殿は俺を殺すためだけに、忌み嫌う魔女と手を組んだか」
「ええ。そのとおりよ」
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