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「見分けた?」
「俺とたちを?」
そっくりな二人を見分けられるのは珍しいことのようだ。
父親のレクスと違い、彼らはまだ感情がある。
慈悲深さや優しさのカケラも感じられない感情であっても、レクスよりマシだ。
「俺たちを見分ける人間はいらないよ」
「そうそう。わかったような顔で理解なんかされたくない」
剣を鞘から抜いた二人を見て、今まで黙っていた私の一番弟子が笑った。
「若く無知な者を教育するのは、ヘルトルーデ様の一番弟子である自分の役目。あのクソガキどものしつけは、自分にお任せいただけませんか?」
私に次いでの年長者の一番弟子は、完全にブチギレでいた。
今すぐにでも殴りかかりそうな勢いだ。
けれど、他の弟子たちから待ったの声が上がる。
「待てよ」
「よく考えようぜ」
――私の弟子たちは落ち着いたものね。一番弟子の暴走をみんなで止めるなんて、素晴らしいわ。
育ててきてよかった!
弟子たちの成長の軌跡が頭の中で駆け巡る。
「俺が殺る!」
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