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「いーや、俺だね! 自分だけ師匠から褒めてもらおうとしてるだろ」
――私の感動を返して。
奪い合いのいがみ合いが始まった。
「やめなさい! 今日は戦わないって言ってるでしょ!」
仲間割れしている場合じゃない。
私の目から見た双子の魔力量は、弟子たちより多い。
――戦うなら、弟子たち全員で、あの双子を倒すしかない。
暴言を吐き、自信たっぷりなだけあって、弱くなかった。
「剣に大魔女の血を吸わせたら、もっと強くなるかな?」
「アーレント、頭いいなぁ~。魔法使いたちの血も加えてやろうよ!」
双子は私の弟子たちから、さらなる反感を買い、じろりとにらまれる。
それでも平気な顔をしている双子。
「身の程を知らないクソガキは嫌いなんですよ」
「まさか勝てるとでも思ってるんじゃねえだろうなぁ?」
今にも戦いが始まりそうな空気の中、たった一人だけ退屈そうな顔の人間がいた。
「話は終わったか?」
レクスは玉座の肘置きに肘をつき、気だるげな態度を崩さず、私たちを見下ろしている。
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