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――大魔女の私を前にして、こんな態度をとった人間は初めてだわ。
私に媚びることも取り繕うこともなかった。
よほど、自分に自信がない限り、そうはならない。
違和感があったのに、それを考えるヒマもなく、アーレントとフィンセントが剣を構え、攻撃しようとする。
憐れみの目を弟子たちは向ける。
――私がなぜ大魔女と呼ばれるか。
剣に付与されていた彼らの魔力が散り、魔法剣は普通の剣に戻る。
攻撃しようとした双子は動きを止め、不思議そうに剣を眺めた。
「魔法が消えた?」
「魔女がやったのか?」
さっきまで子供みたいに大騒ぎしていた弟子たちも、魔法が消滅したのを目にして、静かになった。
「敬愛すべき最強の魔女」
「大魔女の名にふさわしい方だ」
「我々を罵倒できるのはヘルトルーデ様だけ!」
「むしろ、ヘルトルーデ様から構われてニヤニヤしたい!」
「叱ってください! ヘルトルーデ様!」
育ててきた弟子たちから向けられる尊敬のまなざしと……なにか特殊な感情。
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