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嬉しいはずだけど、ちょっと変態じみているところがあって、素直に喜べない。
双子はなにが起きたかわからず、信じられないという顔をしていた。
「ふむ。今のはなんだ?」
退屈にしていたレクス。
だけど、魔法が消え、私に興味がわいたらしい。
「魔法は複数の要素によって構築され、空間に具現化される完成品。完成品を分解し、要素に戻して消滅させただけ」
「簡単に説明すると、出来上がったばかりのシチューを野菜と肉、水、調味料に戻してから消すということですよ」
弟子が私の説明を補足する。
「なるほど。わかった」
「わかったなら、諦めて降伏してほしいところだけど……そうはいかないみたいね?」
説明を受けて驚きもせず、玉座から立ち上がったレクスは剣の柄に手をやる。
「アーレントとフィンセントでは手に余る」
――わかったって、そういうこと?
空気がより一層重くなり、弟子たちが身構えた。
レクスがただ者でないことくらい弟子たちも気づいている。
「大魔女ヘルトルーデ。俺が貴様を殺してやる」
初めて会ったレクスは、堂々と私に殺すと言った。
殺意という感情を灯した目で――
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