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「う、うーん……殺す……殺……私が……」
――俺を嫌っていた妻。
毒を盛られ、殺されかけた時の夢を見ているのかもしれない。
ユリアナはうなされていた。
「恐ろしい夢を見ているのか?」
夢で殺されかけていても、どうにもしてやれない。
自分の妻をジッと見つめる。
金色にエメラルドの瞳を持つユリアナ。
彼女はグラーティア神聖国の王女である。
ユリアナとはお互い愛し合って結婚したわけではなく、完全な政略結婚だった。
権威のグラーティア神聖国、武力のルスキニア帝国を結びつける役目を果たすため、ユリアナは俺に嫁いできた。
――初対面から嫌われ、にらまれていたな。
この結婚を勧めたのはエルナンドで、いつまでも馴染めないユリアナを一番気遣っていたのもあいつだ。
うまくいかない俺とユリアナの結婚生活に、エルナンドは責任を感じていたのだろう。
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