19 妻 ※レクス視点

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 ――妻から嫌われているとわかっていても、離婚だけはできなかった。  度重なる冷たい態度と蔑んだ目に愛されることを諦め、これ以上、不仲にならないよう距離を置いたのだが…… 「家族か」  最近、子供たちからは絵を、ユリアナからは手紙をもらった。  その時だけは、頻繁に続いていた頭痛が消えた。    「朝はパンケーキ……蜂蜜たっぷり……むにゃ」  儚げな雰囲気を持っていたユリアナだが、今は緩みきった顔で、食い意地のはった寝言を言い、無防備な姿をさらして寝返りをうつ。 「俺の妻は、これくらい気が抜けているほうがいい」  いつも憎まれ、緊張して顔色をうかがわれているよりはマシである。  俺が部屋にきたら、追い返すかと思ったが、ユリアナは受け入れた。 『あなたと同じ部屋にはいたくありません。他の女性と仲良くなさったら?』 『可愛らしいご令嬢が、あなたを見つめていましてよ? あの方が新しいお相手?』  以前のユリアナなら、こうだった。  「女心は不可解だ」  どんな戦よりも難しい。
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