19 妻 ※レクス視点

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「まあいい。お前の好きにしろ。それで、暗殺者は?」 「眠り薬で兵士が数人、やられました」 「わかった」  エルナンドは信用できる。  俺に手を差しのべることのない生活の中で、『皇帝を目指すのであれば、あなたに従いましょう』と言ったのは、エルナンドだけだった。  父と兄に従いたくなかったエルナンドは、俺を選んだ。  つまり、俺がエルナンドにとって、尊敬できる皇帝であれば、離れずにいるということだ。 「申し訳ありません。皇妃様が命を狙われていると気づけず、危険にさらしてしまいました」  ユリアナが毒を盛られていた話をエルナンドにもした。  命を狙われるのは、俺だけだと思っていたからか驚いていた。 「いや。俺のせいだ。自分だけでなく妻が狙われるとは思っていなかった」 「不仲な噂が流れているうちは、ユリアナ様が命を狙われないはずだったんですが……」 「最近は違う」  返り血がついている顔で、エルナンドはどこか嬉しそうにうなずいた。
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