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「まあいい。お前の好きにしろ。それで、暗殺者は?」
「眠り薬で兵士が数人、やられました」
「わかった」
エルナンドは信用できる。
俺に手を差しのべることのない生活の中で、『皇帝を目指すのであれば、あなたに従いましょう』と言ったのは、エルナンドだけだった。
父と兄に従いたくなかったエルナンドは、俺を選んだ。
つまり、俺がエルナンドにとって、尊敬できる皇帝であれば、離れずにいるということだ。
「申し訳ありません。皇妃様が命を狙われていると気づけず、危険にさらしてしまいました」
ユリアナが毒を盛られていた話をエルナンドにもした。
命を狙われるのは、俺だけだと思っていたからか驚いていた。
「いや。俺のせいだ。自分だけでなく妻が狙われるとは思っていなかった」
「不仲な噂が流れているうちは、ユリアナ様が命を狙われないはずだったんですが……」
「最近は違う」
返り血がついている顔で、エルナンドはどこか嬉しそうにうなずいた。
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