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クリスティナが嬉しそうな顔で、レクスに話しかける横顔が印象的だった。
誰の目から見ても、クリスティナがレクスに好意を持っているとわかる。
妻が目の前いるというのに、堂々としていて自分の想いを隠そうとしない。
残った数名の侍女たちが、こちらを見てひそひそと話す。
「皇帝陛下の気を引くために、毒を飲むなんて、妃としてのプライドはないのかしら?」
「嫁いで来た時は、ルスキニア帝国を蛮族扱いして見下していたけど、今じゃ皇帝陛下に気に入られようと必死なんでしょ」
「クリスティナ様がいてくださって、本当によかったわ。いなかったら、皇帝陛下は暗い顔をした妻を眺めるしかないもの」
――ユリアナはかなり嫌われている。
でも、この政略結婚は絶対に必要だった。
武力のルスキニアと権威のグラーティア。
両国が蜜月状態であれば、世界は安定した平和を得られる。
ただし、結婚した二人が蜜月かどうかは別である。
――無愛想なレクスと結婚しなくちゃいけなかったユリアナも可哀想よ。
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