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俺を探していたらしい黒づくめの暗殺者たちが、殺意を向けている。
やはり、目的は俺の命。
「エルナンドに数人やられた時点で、逃げればよかったものを」
「皇帝陛下。暗殺者たちは皇宮内で迷って、脱出できなかっただけですよ。ルスキニア皇宮は迷路のようになってますからね」
ルスキニア皇宮は迷いやすい造りになっている。
侵入者を簡単に脱出できないようにするためだ。
「皇帝陛下。気を付けてください。複数の気配があります」
青瑪瑙の目が、さらに奥の暗闇をにらむ。
「思ったより、侵入者が多いですね。明日から、護衛の人数を増やしましょうか」
「必要ない。自分の身は自分で守れる」
「……差し出がましいことを申し上げました。では、すみやかに暗殺者を排除します」
エルナンドは剣を抜き、背後から現れた黒づくめの男を斬る。
見た目は童顔で、穏やかな顔をしているが、剣の腕は誰にも負けない。
続けて、俺の元に三人――剣を抜き、簡単に片付けた。
暗殺者は戦場の兵士に比べ、腕は劣る。
減っていく仲間たちに動揺したのか、暗殺者は声を張り上げた。
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