19 妻 ※レクス視点

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「このっ……血塗られた皇帝め! お前の残虐な魂は、いずれ世界を滅ぼすだろう!」  呪いの言葉を吐いた暗殺者は、エルナンドの剣によって絶命させられた。  奇襲に失敗したと判断したなら引くべきだ。  俺とエルナンドの剣が閃き、あっという間に生きている者は誰もいなくなった。  血で汚れた廊下に、立っているのは俺とエルナンドだけ。    「片付けておきます。レクス様はおやすみください」 「ああ」  ――血だらけだ。ユリアナたちと一緒に眠れないな。  返り血のついた体を眺めた。  俺の命を狙いにきた暗殺者は、多少訓練されていたが、ほとんど素人だ。  おおかた父か兄を慕っていた者の仲間だろう。 『お前を息子と思ったことはない。幸せになれると思うな』 『愛することを知らないお前が、家族を持てるか』  父と兄は最後まで、俺を呪って死んでいった。   「うーん。ユリアナ様を狙った雰囲気はありませんでしたね」  「そうだな。完全に俺だけだ」    エルナンドも俺と同じ考えだった。  ――では、誰がユリアナを狙った?
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