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「このっ……血塗られた皇帝め! お前の残虐な魂は、いずれ世界を滅ぼすだろう!」
呪いの言葉を吐いた暗殺者は、エルナンドの剣によって絶命させられた。
奇襲に失敗したと判断したなら引くべきだ。
俺とエルナンドの剣が閃き、あっという間に生きている者は誰もいなくなった。
血で汚れた廊下に、立っているのは俺とエルナンドだけ。
「片付けておきます。レクス様はおやすみください」
「ああ」
――血だらけだ。ユリアナたちと一緒に眠れないな。
返り血のついた体を眺めた。
俺の命を狙いにきた暗殺者は、多少訓練されていたが、ほとんど素人だ。
おおかた父か兄を慕っていた者の仲間だろう。
『お前を息子と思ったことはない。幸せになれると思うな』
『愛することを知らないお前が、家族を持てるか』
父と兄は最後まで、俺を呪って死んでいった。
「うーん。ユリアナ様を狙った雰囲気はありませんでしたね」
「そうだな。完全に俺だけだ」
エルナンドも俺と同じ考えだった。
――では、誰がユリアナを狙った?
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