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犯人に関することを考え出すと頭痛が始まった。
『皇妃の地位を手に入れたいと思っている女性は大勢います。それを理解してください』
ユリアナの言葉を思いだし、それを反芻する。
「ユリアナの敵は、俺の妃になりたい女?」
――そんな女がいるか?
最近、俺の周囲をうろちょろしているのは、伯爵令嬢のクリスティナだけだ。
『私は皇帝陛下のおそばにいたいです』
クリスティナは眩しい光を放ち、そちらへ行けば『幸せになれるぞ』と誰かが耳打ちする。
甘い言葉を繰り返し、俺を誘惑する。
「あの女はなんだ? いつからいる?」
クリスティナはユリアナが皇宮に来てから見かけるようになった。
気づけば、こちらの心にうまく入り込んでいる。
パーティーにしてもそうだ。
なぜ、好きでもないパーティーを了承してしまったのか。
その上、エスコートまで要求してきた。
――俺は舞踏会でクリスティナをエスコートするのか?
もし、クリスティナがユリアナに毒を持ったのなら、厳罰を与えねばならない。
頭ではわかっているはずが、クリスティナを殺さねばと思うと、頭に激痛が走り、
動けなくなる。
「くそ……!」
ユリアナを捨てろと、頭の中で誰かがささやいていた――
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