19 妻 ※レクス視点

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 犯人に関することを考え出すと頭痛が始まった。 『皇妃の地位を手に入れたいと思っている女性は大勢います。それを理解してください』  ユリアナの言葉を思いだし、それを反芻する。   「ユリアナの敵は、俺の妃になりたい女?」  ――そんな女がいるか?  最近、俺の周囲をうろちょろしているのは、伯爵令嬢のクリスティナだけだ。 『私は皇帝陛下のおそばにいたいです』  クリスティナは眩しい光を放ち、そちらへ行けば『幸せになれるぞ』と誰かが耳打ちする。  甘い言葉を繰り返し、俺を誘惑する。 「あの女はなんだ? いつからいる?」  クリスティナはユリアナが皇宮に来てから見かけるようになった。  気づけば、こちらの心にうまく入り込んでいる。  パーティーにしてもそうだ。  なぜ、好きでもないパーティーを了承してしまったのか。  その上、エスコートまで要求してきた。  ――俺は舞踏会でクリスティナをエスコートするのか?  もし、クリスティナがユリアナに毒を持ったのなら、厳罰を与えねばならない。  頭ではわかっているはずが、クリスティナを殺さねばと思うと、頭に激痛が走り、 動けなくなる。 「くそ……!」  ユリアナを捨てろと、頭の中で誰かがささやいていた――
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