20 皇妃のたくらみ

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 衝撃的なものが朝食に出てきた。  金色のバターが溶けて、パンケーキの上を滑っていく。    ――これは、ルスキニア帝国の権力を結集させた究極のパンケーキ!  素材にこだわり、トッピングも生クリーム、フルーツ、野菜、ソースなど多種多様。  これは、とんでもなく美味しいパンケーキだと、見ただけでわかる。   「どういうこと?」  私が食べたいと思っていたものが、タイミングよく朝食に出てくるなんて都合が良すぎる。 「皇帝陛下が皇妃様のために、パンケーキをご用意するよう厨房に命じられました」 「私のために!?」  ――クリスティナに【魅了】されているレクスが、私のためになにかするなんてありえるの?  解かれていない【魅了】魔法に耐えるには、強い精神力が必要だ。 「恐ろしい男ね……」  私の大好きな蜂蜜は、たっぷりかけられるように瓶で登場し、子供たちには生クリームをつけてあげた。 「おいちー」 「ふあふあ」
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