20 皇妃のたくらみ

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「おかーしゃま、おいち?」 「あーんしゅる?」  サファイアの目をキラキラさせ、元の原型を完全に失っているパンケーキを差し出した。  いつの間にトッピングしたのか、生クリームがたっぷりついていて、それが、ぼとっと落ちるのが見えた。  慌てて汚れた口と手をふく。 「生クリームをつけすぎよ」  最低限の人数しか侍女を置いていないため、双子のお世話はなかなか大変で、ついいないはずのハンナを呼んでしまいそうになる。  ――ハンナ、早く帰ってきて! 「皇妃様。お休みをありがとうございました」 「ハンナあああぁぁ!」  思わず、ハンナに抱きついた。 「大変でしたよね。遅くなって申し訳ありません」 「いいの! 帰ってきてくれたんだから、なんだっていいのよ! それで、どうだった?」  お休みを希望していたのは本当だけど、この休暇を利用して、ハンナにはあることを頼んであった。 「はい。皇妃様がおっしゃっていたとおりでした」  ハンナは侍女たちへちらりと視線をやる。
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