1246人が本棚に入れています
本棚に追加
「おかーしゃま、おいち?」
「あーんしゅる?」
サファイアの目をキラキラさせ、元の原型を完全に失っているパンケーキを差し出した。
いつの間にトッピングしたのか、生クリームがたっぷりついていて、それが、ぼとっと落ちるのが見えた。
慌てて汚れた口と手をふく。
「生クリームをつけすぎよ」
最低限の人数しか侍女を置いていないため、双子のお世話はなかなか大変で、ついいないはずのハンナを呼んでしまいそうになる。
――ハンナ、早く帰ってきて!
「皇妃様。お休みをありがとうございました」
「ハンナあああぁぁ!」
思わず、ハンナに抱きついた。
「大変でしたよね。遅くなって申し訳ありません」
「いいの! 帰ってきてくれたんだから、なんだっていいのよ! それで、どうだった?」
お休みを希望していたのは本当だけど、この休暇を利用して、ハンナにはあることを頼んであった。
「はい。皇妃様がおっしゃっていたとおりでした」
ハンナは侍女たちへちらりと視線をやる。
最初のコメントを投稿しよう!