20 皇妃のたくらみ

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 その行動を見て、私はハンナを信用することにし、クリスティナが毒の入手に関わっているかもしれないと打ち明けた。 「まさか、クリスティナ様が皇妃様を殺そうとするなんて……」    いくら好感度が高くても、毒殺に関わっていると知れば、信用はなくなる。  一度しか【魅了】魔法をかけられていない場合、【魅了】魔法を解く方法は、意外と簡単なのだ。  ――信用できないと思わせる。  疑念を抱くことで、【魅了】されにくくなり、かけられていた【魅了】魔法も時間の経過とともに薄れる。  時間はかかるけど、これが一番精神に負担がかからない方法である。 「証拠になるかわかりませんが、購入した日と売却者、クリスティナ様が使用した偽名を控えてきました」  ハンナは書きとめたものを私に見せた。 「ありがとう。でも、きっとこれだけ揃っていても、クリスティナはうまく逃げると思うわ」 「そうですね……。別人だと主張されてしまえば、皇妃様が不利になると思います。クリスティナ様は人気ですし、皇帝陛下に気に入られていますから……」  これだけの証拠では、まだ不十分。
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