1386人が本棚に入れています
本棚に追加
完全に勝てると確信できるまで、クリスティナと争うつもりはなかった。
それに――
「クリスティナだけでなく、毒と知らずに、料理やお茶に混ぜた人間まで、罰せられるのは不本意だわ」
「皇帝陛下の性格を考えたら、厳罰を与えられるのではないでしょうか」
たとえ、妻として私が愛されていなくても、皇妃という立場にいる限り、レクスは厳しい罰を与えるだろう。
でも、私はレクスに罰を与えさせたくない。
残酷な所業をなるべく回避し、悪逆皇帝一家という不名誉な呼び名を避ける。
そうでなくては、未来を変えられない。
「今となっては騙されませんが、以前の私なら、クリスティナ様から栄養剤と言われて渡されていたら、信じていたと思います」
どうしてでしょうかと、ハンナはため息をついた。
これが【魅了】魔法の影響力である。
ユリアナに毒を盛っていたのは、クリスティナが魔法で操った者たちである可能性が高い。
「皇帝陛下に、この調査結果をお見せしてはどうですか?」
最初のコメントを投稿しよう!