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「皇妃様は皇帝陛下の妻ですし、当日のドレスが、どんなものなのか気になるのは、当たり前だと思いますよ?」
――そんなの絶対ありえない! 何年もかけて【魅了】魔法をかけてきたのよ? 皇妃様に今さら興味を示すなんて、なにが起きたの?
落ち着かなければ、エルナンド様におかしく思われる。
「そ、そうですわよね。皇妃様は妻ですもの……」
作り笑いを浮かべ、慌てて取り繕った。
きっと子供たちに会う口実に決まってる。
子供たちを【魅了】できなかったのは、大失敗だったと思う。
私が子供たちに好かれていれば、皇帝陛下は私を妻に考えてくれたはずだわ。
――残された時間はあと少し。このままで終わるものですか!
「エルナンド様」
「なんでしょう?」
「お願いがあるんです……」
胸の前に両手を組み、エルナンド様を見つめた。
「クリスティナ様?」
私と同化している魔女が魔法を構築し、【魅了】魔法を使った。
「お願いとは……?」
「皇帝陛下のお部屋の鍵をいただきたいのです」
「それは……」
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