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――私は愛されない妻でした。
悲しみと切なさが伝わってくる。
私は彼女を知っている。
愛されない皇妃『ユリアナ』。
ルスキニア帝国皇帝の妻でありながら、人々からそう呼ばれていた。
なぜなら、皇帝に愛された寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われ、彼女は死んだからである。
ユリアナは嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとするが、失敗し、夫である皇帝に処刑されてしまう。
エメラルドの瞳から涙がこぼれ、金色の長い髪が、彼女の細い肩を覆っている。
――でも、安心して。あなたを苦しめた皇帝は、私が倒したから。
ユリアナが死んで、クリスティナを皇妃に迎えた皇帝一家。
その後の彼らは人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになった。
そして、偉大なる大魔女(私)によって悪逆皇帝一家は討伐され、ハッピーエンドで終わった――終わったはずだった。
――どうして、私がユリアナの姿をしているの!?
目覚めた私はベッドの上ではなく、土の上に転がっていた。
寝相が悪いにもほどがある。
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