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年齢は二十歳そこそこで若いけれど、派手さはなく、黒髪にそばかすがあり、落ち着いた雰囲気がある。
未来でもあまり容姿が変わっておらず、皇宮で双子付きの世話係として、働いていた。
「皇妃様は皇子を自分の部屋に入れないでと、おっしゃられていましたが、よろしいのですか?」
「そんなことを言ったの?」
「は、はあ。皇帝陛下にそっくりだから、気分が悪くなると……」
――そんな馬鹿な。
レクスには似ているけど、こんな天使みたいな子供たちを見て、気分が悪くなるなんてことありえない。
どこかはかなげで弱々しく、とても悲しそうな表情をして消えていったユリアナ。
彼女がそんなことを言うだろうか。
「確認したいのだけど、それは私が直接、ハンナに言ったことかしら?」
「いいえ。皇妃様付きの侍女から言われました」
「そう。これからは、私が直接お願いしたことだけを聞いてほしいの」
ハンナはハッとした顔をして、うなずいた。
「失礼しました」
使用人の中で彼女だけは、ユリアナを皇妃と呼んでいて、子供たちのめんどうを真面目に見てくれている。
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