3 嫌われた皇妃

4/9

1198人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
 年齢は二十歳そこそこで若いけれど、派手さはなく、黒髪にそばかすがあり、落ち着いた雰囲気がある。  未来でもあまり容姿が変わっておらず、皇宮で双子付きの世話係として、働いていた。 「皇妃様は皇子を自分の部屋に入れないでと、おっしゃられていましたが、よろしいのですか?」 「そんなことを言ったの?」 「は、はあ。皇帝陛下にそっくりだから、気分が悪くなると……」  ――そんな馬鹿な。  レクスには似ているけど、こんな天使みたいな子供たちを見て、気分が悪くなるなんてことありえない。  どこかはかなげで弱々しく、とても悲しそうな表情をして消えていったユリアナ。  彼女がそんなことを言うだろうか。 「確認したいのだけど、それは私が直接、ハンナに言ったことかしら?」 「いいえ。皇妃様付きの侍女から言われました」 「そう。これからは、私が直接お願いしたことだけを聞いてほしいの」  ハンナはハッとした顔をして、うなずいた。 「失礼しました」  使用人の中で彼女だけは、ユリアナを皇妃と呼んでいて、子供たちのめんどうを真面目に見てくれている。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1198人が本棚に入れています
本棚に追加