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「クリスティナ様。皇帝陛下の身を守るため、譲れないこともあるのです。ご理解いただきたい」
皇帝陛下のことになると、エルナンド様は態度が一変した。
「皇帝陛下は幼い時から、父親や兄上たちに命を狙われ、食事に毒を混入されるのは当たり前。今も暗殺者がやってくる」
「今も暗殺者が……」
殺伐とした空気が漂い、優しかったエルナンド様ではなくなった。
「皇帝陛下は、皇妃様と子供たちに被害が及ばないよう遠ざけているだけで、愛がないわけではありません」
エルナンド様は私が皇帝陛下を狙っているとわかって、釘をさしたのだと気づいた。
「誰よりも家族を必要としている方なのです。ですから、絶対に皇妃様と幸せになってほしいと心から願っております」
「そうですか……」
――私では幸せになれないというの?
皇妃様に皇帝陛下は何度も冷たくされ、傷ついたわ。
私のほうがいいに決まってる。
「時間はかかりましたが、ようやく夫婦らしくなってきたと思います」
エルナンド様は私に皇帝陛下を諦めてほしい。
私を邪魔者なんかにさせないわ。
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