21 あなたは私のもの ※クリスティナ視点

6/13
前へ
/266ページ
次へ
「クリスティナ様。皇帝陛下の身を守るため、譲れないこともあるのです。ご理解いただきたい」  皇帝陛下のことになると、エルナンド様は態度が一変した。 「皇帝陛下は幼い時から、父親や兄上たちに命を狙われ、食事に毒を混入されるのは当たり前。今も暗殺者がやってくる」 「今も暗殺者が……」  殺伐とした空気が漂い、優しかったエルナンド様ではなくなった。 「皇帝陛下は、皇妃様と子供たちに被害が及ばないよう遠ざけているだけで、愛がないわけではありません」  エルナンド様は私が皇帝陛下を狙っているとわかって、釘をさしたのだと気づいた。 「誰よりも家族を必要としている方なのです。ですから、絶対に皇妃様と幸せになってほしいと心から願っております」 「そうですか……」  ――私では幸せになれないというの?  皇妃様に皇帝陛下は何度も冷たくされ、傷ついたわ。  私のほうがいいに決まってる。 「時間はかかりましたが、ようやく夫婦らしくなってきたと思います」  エルナンド様は私に皇帝陛下を諦めてほしい。  私を邪魔者なんかにさせないわ。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1395人が本棚に入れています
本棚に追加