21 あなたは私のもの ※クリスティナ視点

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 高位の魔女と自称するだけあって、まるで息をするかのように魔法を使う。  容易く魅了される人々が可笑しいのか、くすくす笑っていた。 『ふふっ。クリスティナの人気のおかげで、【魅了】魔法にかかりやすくて助かるわ。誰も私を疑わない!』  頼もしいけど、魔女だとバレないか心配だった。  魔女は神殿に捕まったら、死ぬまで牢屋に閉じ込められると、聞いたことがある。  ――あんまり派手に魔法を使わないで! 『うるさいわねぇ。ここに神官がいるならわかるけど、神官はいないのよ? 誰が私の正体を暴けるっていうの?』  高笑いをしながら、ノックもせずに皇妃様の部屋へ入った。  皇妃様の舞踏会用の靴をいくつも持った侍女と鉢合わせて、私の姿を見て驚いていた。 「まあ。クリスティナ様! 急な訪問はお控えください。王妃様は忙しくて、誰にもお会いできませ……」  パチンと指を鳴らし、侍女に【魅了】を使う。 「どうぞ。皇妃様はドレスを合わせております……」  侍女は私を部屋へ招き入れ、ふらふらと廊下へ出ていった。
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