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部屋の中では、皇帝陛下と皇妃様、侍女たちがいた。
皇帝陛下のサファイアの瞳が皇妃様を見つめているのがわかり、カッとなった。
――許せないわ。許せない! 早く【魅了】してしまわないと!
私と魔女は狂ったように心の中で叫び、私たち二人分の声が重なった。
「クリスティナ!? どうして、私の部屋へ……?」
「皇妃様。とても素敵なドレスですね」
皇妃様のドレスは緑のドレスで、白いレースで飾られた平凡なもの。
私が仕立てたドレスよりも地味で、華やかさはない。
――これなら勝てそう。
「皇妃の部屋に入っていいと許可した覚えはない」
許可なく部屋に入った私を見て、皇帝陛下からお叱りを受けた。
私はすごくショックだったけど、【魅了の魔女】は動じない。
「私は皇妃様のお友達です。お友達のところへおしゃべりに来ただけですわ」
「私の友達!?」
「もしかして、お友達だと思っていたのは私だけですか? 仲良くさせていただいてたのに……」
傷ついたふりをして、目に涙を浮かべた。
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