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「……わかった。エルナンドには俺から伝えておく」
強力な【魅了】魔法を使ったはずなのに、皇帝陛下は険しい顔のままだった。
去っていく皇帝陛下の背中を眺め、その姿を見送った。
――私のことが好きでたまらないはずなのに、態度が冷たかったわ。本当に【魅了】魔法が効いてるの?
『当たり前よ。私の魔法を疑うの?』
疑ってなんていないわ――そう答えるつもりが、私の声は悲鳴に変わった。
「きゃあああ!」
魔力の刃が私の体を切り刻む。
誰かが皇帝陛下に守護魔法をかけてあったのだ。
さっきの【魅了】魔法は攻撃魔法として認識され、反撃される。
「いったい誰が、こんな魔法をかけたの!? 私の邪魔をしているのは誰よ!」
私は愛され令嬢クリスティナ。
なぜ私は血まみれになっているの?
うまくいっていたはずだったのに――私の恋は。
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