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舞踏会が近づき、皇宮内は慌ただしくなった。
そんな中で、ちょっとした変化があった。
「え? クリスティナはずっと部屋にひきこもってるの?」
私と友達になりたいとかいうから、舞踏会まで友達攻撃してくると思って警戒していたのに、なんだか肩透かしを食らったような気分だ。
「ええ。美容のためとおっしゃってます」
「ふーん。美容に気を遣ってるのね」
いったいどんな美容法なのか知らないけど、【魅了の魔女】が極めた魅力アップの美容法なら、少し知りたい気がした。
「なにかたくらんでいるのかもしれませんよ。舞踏会のためにピンク色の可愛らしいドレスを仕立てたそうです。仕立屋をお呼びしましょうか?」
「さすがに仕立屋は共犯じゃないと思うわよ……」
ハンナはすっかりクリスティナに疑心暗鬼で、情報収集を怠らない。
おかげで、クリスティナがなにをしているか、すぐにわかる。
「おかーしゃま、きれー」
「どれちゅ、ひらひら」
私のドレス姿を見た子供たちは、ドレスが気に入ったのか、お絵描きしていた。
「まあ、上手。私を描いてくれてるの?」
「あーれ、じょーず!」
「ふぃんも、じょーず」
「すごいわ。舞踏会の時に着るドレスを二人とも覚えているのね」
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