22 切り刻まれたドレス

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 でも、神殿が禁止されている【魅了】魔法を使いすぎれば、魔女と知られてしまう危険性がある。  神殿が禁止している魔法を使った魔女の末路は、魔力を封じられ、命が尽きるまで、暗い牢屋で死んでいく…… 「慈悲深いことですね。さすがグラーティア神聖国のユリアナ王女」 「神殿の神官……様!」  ――あ、あぶなーい! つい、素が出るところだった。  銀糸の刺繍と白の法衣に身を包んだ神官が現れた。 「ご挨拶にうかがうと、侍女に伝えてあったのですが、この騒ぎで伝わっていなかったようですね」  ――リュド=ラウチェス!  知り合いの神官だったため、うっかり名前を呼びそうになった。  ――う、うわ。下っ端の神官がくるのかと思ったら、ヤバイのがきちゃったああああ!  外見は十八歳くらいに見えるけど、実年齢は二百歳を超えている。  銀髪にスピネルの瞳をした美男子だが、作り物のように冷たく見える。  冷たいのは外見だけではない。  神殿に背いた者を徹底的に追い詰め、【浄化】という大義名分で反逆者を始末する冷徹な男だ。
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