22 切り刻まれたドレス

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「もしかすると魔女に精神を操られていたかもしれません」 「神官か」 「ルスキニア帝国には初めてうかがいました」 「神殿に用がなかったからな」  他の国々は王が即位すると、必ず神殿に承認を求める。  けれど、ルスキニア帝国だけは別で、神殿とは距離を置いている。  リュドと初対面ではあるものの、レクスとの相性は悪そうだ。  ちょっと目を合わせただけなのに、見えない火花がバチバチしていた。 「相変わらず、神殿に対する敬意が足りてませんね」 「神の名を利用し、国の政に介入する坊主どもを尊敬しろというのか」  ――ユリアナと合わなかったのも納得だわ。  グラーティア神聖国は神殿の影響力がもっとも強い国だ。  神官を坊主よばわりするなんて、とんでもない話である。   「ルスキニア皇帝はずいぶん元気な(生意気な)方ですね。これは導き(叩き潰す)が必要のようだ」 「お前が俺を導く? なかなか面白い冗談だ」  二人の立場は違えど、戦闘狂――つまり同類。 「やめてください! 子供たちが怯えます!」
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