22 切り刻まれたドレス

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 私が怒鳴ると、レクスとリュドはハッと我に返った。 「ケンカ、めっ!」 「おこられたー」  アーレントとフィンセントは面白がっていて、怖がっている様子はなかったけど、子供たちの顔を見て、いがみ合うのをやめた。  ――神殿がリュドを寄越したのは、ただの嫌がらせとしか思えないわ。  あわよくば、神殿に従わないレクスも始末してやろうと考えていてもおかしくない。  神殿が清く正しく見えるのは表面だけで、裏はルスキニア帝国よりも真っ黒である。  リュドを見てもわかるように、神殿が正しいと思い込み、暴走がちな人間が多い。 「たかがドレスです。人が殺されたり、傷つけられたわけではありません。この程度のことで、騒がないでください」  私に叱れ、レクスが黙ったのを見て、リュドはにやりと笑った。  笑っていられるのも今のうち。  ルスキニア帝国に来たからには、リュドにもしっかり神官として働いてもらう。 「侍女が操られていたというのなら、リュド神官長が専門でしょうから、そちらにお任せします」 「精神支配を解くのはめんどくさ……」
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