22 切り刻まれたドレス

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「神官長。お願いしますね」 「……承知しました」  何度も【魅了】をかけられている場合、絡み合った糸のように、解くのに時間がかかる。  一番いいのはクリスティナを魔女だと証明し、【魅了】の効果を減らし、魔法を解く。  だからこそ、好きでもない神官を呼んだのだ。 「ルスキニア皇帝。魔女たちの欲望は尽きることがない。皇妃の地位で終わらず、最終的にはルスキニア帝国を手に入れようとするでしょう」  ――ちょ、ちょっと。私はそんなことないわよ!?   美味しいパンケーキで体重増加が気になる程度の欲望しかない。  レクスになんてことを吹き込むんだろうか。 「欲か。欲がなけば、俺はここに生きていまい。坊主の言うことだ。綺麗事だけで生きていけるか」  レクスはリュドのありがたい忠告を鼻で笑い飛ばし、そして私に言った。 「ユリアナ、安心しろ」 「なっ、なにを!?」 「なにってドレスだが?」 「そ、そうですね。私は別に……」  私が魔女だとバレたのかと思ったら違っていた。 「ドレスを仕立てさせてある。それを着ろ」 「いつの間に!?」
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