23 波乱の舞踏会

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「アーレント様とフィンセント様は、そうですけど、皇妃様は招待客からの挨拶やダンスで、それどころじゃないと思いますよ」 「どうかしら。貴族たちは私を避けてるし、レクス様もクリスティナとダンスを踊る予定で……」    すでに大広間の扉の前に、クリスティナが侍女たちとともにいるのが見えた。  クリスティナも侍女たちに付き添われ、大広間前でレクスを待っている。  たしかに侍女たちが話していたとおり、可愛らしいピンクのドレスを着ていた。  着ていたけど…… 「皇妃様、ごきげんよう」 「ごきげんよう、クリスティナ……」  可愛らしいはずのクリスティナの顔が、大きな仮面に覆われて見えない。 「ねえ、クリスティナ。よけいなことかもしれないけど、仮面をはずしたほうがいいのではなくて?」  クリスティナは仮面舞踏会でもないのに、大きな仮面をつけて顔を隠している。 「いえ! 仮面はアクセサリーです! どうかお気になさらないでください!」 「そう……?」  クリスティナはかたくなで、仮面をはずさなかった。
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