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「アーレント様とフィンセント様は、そうですけど、皇妃様は招待客からの挨拶やダンスで、それどころじゃないと思いますよ」
「どうかしら。貴族たちは私を避けてるし、レクス様もクリスティナとダンスを踊る予定で……」
すでに大広間の扉の前に、クリスティナが侍女たちとともにいるのが見えた。
クリスティナも侍女たちに付き添われ、大広間前でレクスを待っている。
たしかに侍女たちが話していたとおり、可愛らしいピンクのドレスを着ていた。
着ていたけど……
「皇妃様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、クリスティナ……」
可愛らしいはずのクリスティナの顔が、大きな仮面に覆われて見えない。
「ねえ、クリスティナ。よけいなことかもしれないけど、仮面をはずしたほうがいいのではなくて?」
クリスティナは仮面舞踏会でもないのに、大きな仮面をつけて顔を隠している。
「いえ! 仮面はアクセサリーです! どうかお気になさらないでください!」
「そう……?」
クリスティナはかたくなで、仮面をはずさなかった。
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