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「待たせたな」
レクスが着ていたのは、私と同じ青の生地を使った上着とズボンで、わざわざ揃えたのだとわかる。
――私と同じ生地で、レクスも仕立てたの?
驚いた私を見て、レクスが得意顔をしたのは、きっと気のせいじゃない。
戸惑っていたのは私だけではなかった。
「皇帝陛下、どうしてですか!?」
クリスティナがレクスの服装を見て、扇子を持つ手を震わせた。
「二人がお揃いにするなんて聞いてません!」
「夫婦だからな」
レクスは私の前に立つと、こちらを見つめて、なにか言ってほしそうな顔をして待っている。
――え? な、なにかしら?
見つめ合う私たち。
なんなのかわからず、私が黙ったままでいると、レクスはちらちらと緯線をアーレントとフィンセントへ向ける。
私の横で、ハンナがそっと耳打ちする。
「皇帝陛下も皇妃様から褒めていただきたいのではないでしょうか?」
「褒める!?」
「さっき、アーレント様とフィンセント様を褒めていらっしゃったじゃないですか」
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