1479人が本棚に入れています
本棚に追加
それはそうだけど、レクスを褒めるなんて、思ってもみなかった。
レクスの期待に満ちた眼差しと無言の圧が辛い。
「……レクス様。とてもよくお似合いですわ」
「ユリアナもよく似合っている。今までで一番美しい」
――う、美しい? 私の心臓よ! 静まれ!
言われなれてない言葉のせいか、動揺してしまった。
レクスに返す言葉が思いつかない。
「おかーしゃま、きれー」
「いちばん!」
アーレントとフィンセントの声が聞こえ、なんとか冷静さを取り戻した。
「あ、ありがとう。二人とも!」
なんという天の助け!
二人をギュッと抱きしめると、心が安らぐ。
アーレントとフィンセントも同じ布で仕立てた服だと気づいた。
レクスは家族全員が、同じものを着るように揃えさせたらしい。
「レクス様。アーレントとフィンセントもお揃いですね」
「ああ。家族だからな」
レクスが微笑み、私の心がまたも動揺した。
――な、な、なに微笑んでるの!?
レクスの微笑みは、ルスキニア帝国の最終兵器!
私の心臓に衝撃を与えるとは――
最初のコメントを投稿しよう!