23 波乱の舞踏会

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 それはそうだけど、レクスを褒めるなんて、思ってもみなかった。  レクスの期待に満ちた眼差しと無言の圧が辛い。 「……レクス様。とてもよくお似合いですわ」 「ユリアナもよく似合っている。今までで一番美しい」   ――う、美しい? 私の心臓よ! 静まれ!  言われなれてない言葉のせいか、動揺してしまった。  レクスに返す言葉が思いつかない。 「おかーしゃま、きれー」 「いちばん!」  アーレントとフィンセントの声が聞こえ、なんとか冷静さを取り戻した。 「あ、ありがとう。二人とも!」  なんという天の助け!  二人をギュッと抱きしめると、心が安らぐ。  アーレントとフィンセントも同じ布で仕立てた服だと気づいた。  レクスは家族全員が、同じものを着るように揃えさせたらしい。 「レクス様。アーレントとフィンセントもお揃いですね」 「ああ。家族だからな」  レクスが微笑み、私の心がまたも動揺した。  ――な、な、なに微笑んでるの!?  レクスの微笑みは、ルスキニア帝国の最終兵器!  私の心臓に衝撃を与えるとは――
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