23 波乱の舞踏会

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「皇帝陛下が幸せそうでなによりです」 「ええ。本当に……」  レクスが笑顔を浮かべるのを見て、エルナンドは感激し、ハンナは涙を流している。  それを見てイライラしたクリスティナが大きな声を出し、場の空気をぶち壊した。 「皇帝陛下! 私をエスコートしてくださる約束ですよね?」  クリスティナはまるで、夫の浮気を咎める妻のような態度を見せた。 「もちろん、覚えている。このパーティーが終わったら、皇宮を去る約束をしたこともだ」  レクスの声は冷たく、クリスティナがかけた【魅了】が解けつつあることに気づいた。  完全に解けていたら、どんな態度だったのか……  クリスティナもそれに気づいるはずなのに、エスコートをやめるとは言わなかった。  レクスの手をとる。 「皇妃様。私がエスコートされてしまってごめんなさい」  さも、悔しいでしょうという顔で言われたけど、こっちはちゃんとエスコート役がいる。 「いいのよ。私はアーレントとフィンセントがエスコートしてくれるから」 「おかーしゃま、どーじょ!」 「て、ぎゅっ! ぎゅって!」
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