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一人前の顔をしたアーレントとフィンセントが私の手を握り、とことこ歩く姿は可愛らしい。
「どうしても、皇子たちがエスコートされたいと申しまして、譲っていただけませんでした」
エルナンドが残念そうな顔をし、肩を落とした。
最初はエスコートの練習をしていただけだったけれど、アーレントとフィンセントは自分たちもエスコートをしたいと暴れて、こうなった。
「皇妃様をエスコートするチャンスをいただけたのに、本当に残念です」
「残念?」
エルナンドはレクスからにらまれ、ハッと我に返った。
「ち、違いますよ!? 皇帝陛下の代理としてエスコートするつもりでした! 代理です、代理!」
慌てて訂正するエルナンドを疑惑の目で見るレクス。
この光景を見たクリスティナは、ブツブツ呟いていた。
「嘘よ、嘘……。私の【魅了】がなぜなの……」
「さあ、行こうか」
レクスが私に不敵な笑みを浮かべてみせた。
扉が開き、拍手で迎えられた――貴族たちは私たちを見て、どよめく。
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