1199人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
――うん。とりあえず、温かいお茶でも飲んで、状況を整理したほうがいいわね。
「まずは部屋に戻りましょうか。二人が風邪をひいてしまうわ」
「おかーしゃまのおへや?」
「いっしょ?」
不思議そうな子供たちの顔を見て、今まで別々に過ごすことが多かったのだとわかった。
「皇妃様。私がお二人を子供部屋へお連れします」
アーレントとフィンセントが、私をじっーと見つめる。
やがて、冷酷で残虐な皇子と呼ばれる二人。
今はまだ幼くて純真である。
愛情をもって育てれば、心優しい皇子になる可能性は高い。
――この子たちを私が育てるしかない?
レクスそっくりの冷たい男になったら、オシマイである。
「そうね。今日からお母様のお部屋で一緒に過ごしましょうか」
「わぁーい!」
「おかーしゃま、いっしょ!」
アーレントとフィンセントは大喜びで、手を叩いてはしゃいだ。
「皇妃様。大丈夫でしょうか?」
ハンナは浮かない顔で、私にたずねた。
最初のコメントを投稿しよう!