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――いったいなにを!?
私が動く前に、貴族たちの中から男が一人、飛び出し、レクスに襲いかかった。
「父と兄と殺し、王位を奪った忌まわしい皇帝よ! 裁きを受けろ!」
レクスに恨みを持つ貴族の一人が、隠し持っていた短剣を構え、こちらへ向かってくる。
「きゃあああ!」
とっさにクリスティナはレクスの後ろに隠れた。
冷静に眺めていたのは、この中で私だけ。
なぜなら、レクスには――
「なっ! なぜだ!?」
レクスに体に触れる手前で、短剣が壊れた。
短剣が砂のようにさらさらと崩れていく。
私がかけた守護魔法が発動して、かすり傷ひとつつけられない。
「俺はなにもしてないぞ」
「そ、そんな馬鹿な……」
レクスは命を狙われたというのに、平気な顔をしていた。
剣の柄で男を殴り倒し、兵士に命じる。
「裏切り者を捕らえよ」
我に返った兵士たちが、レクスの元に駆けつけて、襲った男の腕をつかんだ。
でも、守護魔法の本当の効果はこれから始まる。
「ぎゃああああ!」
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