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私がユリアナになって数日。
ユリアナのルスキニア皇宮内での生活が、どんなものであるか、徐々にわかってきた。
アーレントとフィンセントには信頼できる乳母のハンナがいるけれど、私の身の回りの世話をする侍女は、本当にろくでもなかった。
「ユリアナ様。身を清める準備ができました」
「ありがとう」
侍女が意地悪な顔をしたのを見逃さなかった。
――次はなんの嫌がらせかしら?
湯浴みのため、浴室へ入ったとたん、侍女がの嫌がらせに気づいた。
異様な寒さに顔をしかめる。
お湯であれば、白い湯気が立ち込めているはずなのにそれがない。
確認のため、浴槽に足のつまさきだけを入れてみる。
「つ、冷たっ! 水!?」
侍女たちが浴室前で大笑いしている声が聞こえた。
どうやら、わざとお湯ではなく水風呂を用意したらしい。
「お湯ではなく、水がためられているけど、これはどういうことかしら?」
おとなしく黙っているつもりはない。
扉を開け、浴室前の侍女に尋ねた。
皇妃の私に問われたというのに、侍女は平気な顔で答えた。
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