4 皇宮の嫌がらせ  

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「グラーティア神聖国では身を清めるのに水を使われると、ユリアナ様がおっしゃられていたのですよ? ですから、水風呂をご用意しました」  それは儀式かなにかの時だとわかっているはずだ。  それなのに、侍女たちはくすくす笑っているだけで、お湯を運ぶ気はないようだ。   「そう。それでは、水で身を清めることにしましょう」 「え? それはどういう……?」  私の反応が思っていたのと違っていたらしく、侍女たちはキョトンとした顔をした。 「ユリアナ様!?」 「まさか、この冷たい水の中に入るのですか?」 「そうよ」  うろたえる侍女たちに笑顔でうなずいた。 「本気……?」 「う、うそ……。だって、冷水よ?」  動揺する侍女たちを無視し、浴室の扉を閉め、鍵をかけた。  一人になったのは魔法を使うためである。 「あんな動揺するくらいなら、最初から嫌がらせしなければいいのに」  大魔女の私にとって、水をお湯にするくらい造作もないこと。  スッと手を浴槽に向ける。
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