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――いやいや、違うでしょ。寝相レベルの話じゃないわよ!?
温室のガラスが、倒れた私の姿をしっかり映し出していた。
さっき夢で見たユリアナそのものである。
でも、私はユリアナじゃない!
私は悪逆皇帝一家を倒した大魔女ヘルトルーデ。
銀髪にアメジストの瞳、妖艶な美女でスタイル抜群(自分で言うのもあれだけど)、髪一本まで宝石の如しと言われていた。
それが、金髪にエメラルドの瞳、そこそこのお胸――ここまではギリギリ我慢するとして、問題は『愛されない皇妃ユリアナ』の姿をしているということ!
しかも、ユリアナは毒を飲んだらしく、体が痺れ、死にそうなくらい苦しい。
――体が動かないし、声も出ない!
これでは魔法が使えず、死を待つばかり。
美しい薔薇園の中で死のうと思ったのだろうか。
――ああ、空が青くて花がキレイ……って、このまま天に召されたくない! 誰か助けて!
大魔女ヘルトルーデが誰かに助けを求めるなんて最悪だ。
――この屈辱は一生忘れないんだから!
そう思っていると、誰かがやってきた。
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