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間一髪の身バレ危機を回避して、私が浴室から出ると、侍女が片付けのためにすぐ外で待っていた。
「ユリアナ様。入ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
嫌がらせをしたのに、まったく効果がなかったせいか、侍女たちは落ち着かない様子で浴室へ入っていった。
浴室に侍女が入った瞬間――
「ひっ!? 薔薇の花が全部、花首から切られてる!」
「もしかして、ユリアナ様から私たちへのメッセージ?」
「生意気な侍女を解雇にしてやるぞっていう意味じゃ……」
なにやら侍女たちが大騒ぎしていた。
でも、私はちゃんとお湯から水に戻したから、問題ないはず。
部屋に戻ると、すでに寝る準備を済ませたアーレントとフィンセントが、ハンナと待っていた。
「お風呂はいかがでしたか?」
「とてもいいお湯だったわ」
「それはよかったです。時々、皇妃様の侍女たちが、よからぬことをしていたので、心配してました」
ハンナの口ぶりからいって、ユリアナへの嫌がらせは、今日が初めてというわけではなさそうだ。
「おかーしゃま、おはな?」
「おはな、みたい」
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