4 皇宮の嫌がらせ  

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「まあ、もう決まってるの? 冒険譚? それとも動物のお話かしら……え?」  アーレントとフィンセントが私に呼んでほしいとお願いしたのは、『ルスキニア帝国戦術書』だった。  ――う、うわぁ、間違いなく、レクスの息子ね。  将来、冷酷で残虐な皇子と呼ばれる二人。  それが頭をよぎったけど、目を輝かせ、期待に満ちあふれた顔で、私が読むのを待っている。 「二人には少し難しいかも。他の本にしましょうか……?」 「やー!」 「こりぇがいいー!」  アーレントとフィンセントは手足をバタバタさせた。  ――くっ! むしろ、この二人に必要なのは道徳教育なのにっ!  どうしようと思っていると、部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。  ノックの音に驚いたのか、アーレントとフィンセントは暴れるのを止め、扉のほうを見つめる。 「こんな夜にやってくるなんて、いったい誰かしら?」  念のため、アーレントとフィンセントに簡単な守護魔法をかけておく。  守護魔法があれば、攻撃を防ぐことができ、なおかつ反撃する。
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