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唯一、噂通りだったのは『愛されない皇妃』だけ。
ユリアナの立場を悪くし、死に追いやった人間が必ず存在する。
クリスティナを皇妃にしたいレクスのしわざだとしたら、かなりの強敵である。
「レクス様。お部屋に来られたということは、私か子供たちに用があったのではありませんか?」
――さっさと会話を終わらせて帰ってもらおう。
追い出そうとしていることがバレないよう作り笑いを浮かべ、レクスに言った。
でも、その笑顔は次の瞬間、凍りつく。
「クリスティナがユリアナに会いたいそうだ」
レクスの口から、クリスティナの名前が出た。
「クリスティナですか……?」
やがて、夫も子供も、皇妃の地位もクリスティナに奪われるユリアナ。
その名前を出され身構えずにはいられない。
「クリスティナは何度もユリアナに手紙を出しているが、一度も返事をもらえていないと悲しんでいた」
「そんなはずは……。私の手元には、彼女からの手紙はありません」
レクスは冷たい目で私を見て、ため息をついた。
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