5 皇帝陛下、夜の訪れ

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 唯一、噂通りだったのは『愛されない皇妃』だけ。  ユリアナの立場を悪くし、死に追いやった人間が必ず存在する。  クリスティナを皇妃にしたいレクスのしわざだとしたら、かなりの強敵である。 「レクス様。お部屋に来られたということは、私か子供たちに用があったのではありませんか?」  ――さっさと会話を終わらせて帰ってもらおう。  追い出そうとしていることがバレないよう作り笑いを浮かべ、レクスに言った。  でも、その笑顔は次の瞬間、凍りつく。 「クリスティナがユリアナに会いたいそうだ」  レクスの口から、クリスティナの名前が出た。 「クリスティナですか……?」  やがて、夫も子供も、皇妃の地位もクリスティナに奪われるユリアナ。  その名前を出され身構えずにはいられない。  「クリスティナは何度もユリアナに手紙を出しているが、一度も返事をもらえていないと悲しんでいた」 「そんなはずは……。私の手元には、彼女からの手紙はありません」  レクスは冷たい目で私を見て、ため息をついた。
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