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「嘘をつくな。クリスティナからの手紙を捨てているのだろう?」
「違います!」
「侍女から聞いて知っている」
「侍女が本当のことを言っているとは限りません」
私が否定したところで、レクスは私を信じていない。
呆れた顔でため息をつく。
――妻の言葉より、侍女とクリスティナを信じるの?
侍女たちからの嫌がらせだろうけど、私への手紙を勝手に捨てるなんて。
「おかーしゃま、しない……」
「ぽい、ない!」
レクスと私の間に重い空気が流れたせいか、アーレントとフィンセントが私をかばった。
「もういい」
レクスは私に失望していた。
皇妃として評判が悪く、役目を果たせず、手紙ひとつ書けない妻。
グラーティア神聖国の王女を妻に迎え、なんの問題も起こらないと安心していたはずだ。
それが、侍女には馬鹿にされ、部屋に鍵をかけて妻としての役目を拒み、子供たちを守るのではなく、守られるだけの母親――レクスの目から見たユリアナの姿は、皇妃としてふさわしいものではなかった。
「クリスティナから手紙の書き方を教えてもらったらどうだ?」
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