5 皇帝陛下、夜の訪れ

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「嘘をつくな。クリスティナからの手紙を捨てているのだろう?」 「違います!」 「侍女から聞いて知っている」 「侍女が本当のことを言っているとは限りません」  私が否定したところで、レクスは私を信じていない。  呆れた顔でため息をつく。    ――妻の言葉より、侍女とクリスティナを信じるの?  侍女たちからの嫌がらせだろうけど、私への手紙を勝手に捨てるなんて。 「おかーしゃま、しない……」 「ぽい、ない!」  レクスと私の間に重い空気が流れたせいか、アーレントとフィンセントが私をかばった。 「もういい」  レクスは私に失望していた。  皇妃として評判が悪く、役目を果たせず、手紙ひとつ書けない妻。  グラーティア神聖国の王女を妻に迎え、なんの問題も起こらないと安心していたはずだ。  それが、侍女には馬鹿にされ、部屋に鍵をかけて妻としての役目を拒み、子供たちを守るのではなく、守られるだけの母親――レクスの目から見たユリアナの姿は、皇妃としてふさわしいものではなかった。 「クリスティナから手紙の書き方を教えてもらったらどうだ?」
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