1 愛されない皇妃

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 助かったと思いながら、目だけを動かし、足音の主を見上げる。  足音の主を目にした瞬間、自分の体温が一気に下がった気がした。  ――皇帝レクス!  よりにもよって、第一発見者はユリアナを苦しめた最低な男。  ユリアナの夫のレクス。  自分の妻を見ているはずなのに、彼の目からは、ぬくもりをいっさい感じない。  ――って、待ってよ。なぜ、レクスが生きてるの? ほとんど相討ち状態だったけど、倒したはず。  レクスはサラサラの金髪にサファイアの瞳を持ち、皇家の宝に数えられるくらい整った顔をした美形(イケメン)だ。  気のせいじゃなかったら、私が知っているレクスより、ずっと若く見える。  そのレクスの近くで、可愛い双子の幼児が目に涙を浮かべていた。 「お、おかーしゃま……」 「うわあああん」  乳母に抱き抱えられ、泣き出す双子の赤ん坊。  金髪にサファイアの瞳をしており、レクスの容姿とそっくりである。  ――もしかしなくても、この双子は冷酷で残虐だと言われていた皇子、アーレントとフィンセント?
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