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「手紙をですか?」
「俺の元へクリスティナは何通も手紙を送ってくる。だが、妻からは一度ももらっていない」
レクスは皮肉のつもりで言ったのだろうけど、私はそれがちょっとひっかかった。
「もしかして、レクス様は私から手紙が欲しかったのですか?」
「は? 誰がそんなことを言った!?」
「レクス様ですけど」
「違う。いや、違わないか……?」
思った以上にレクスは動揺していた。
私から返ってくるのは、冷たい言葉だけだと思っていたのだろう。
案外、レクスは単純な男なのかもしれない。
――まあ、二十歳そこそこだし、戦ばかりやってた脳筋。女性の気持ちがわからなくてもしかたないわよね。
ここは数百歳年上(外見は二十歳後半だけど)の大魔女様が、大人になってあげるしかないようだ。
大人の余裕を見せて、にっこり微笑んだ。
「わかりました。明日、アーレントたちと一緒に、レクス様に宛てた手紙を書きますね。楽しみにしていてくださいませ」
「あーれもやるー!」
「ふぃんも!」
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