5 皇帝陛下、夜の訪れ

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「手紙をですか?」 「俺の元へクリスティナは何通も手紙を送ってくる。だが、妻からは一度ももらっていない」  レクスは皮肉のつもりで言ったのだろうけど、私はそれがちょっとひっかかった。 「もしかして、レクス様は私から手紙が欲しかったのですか?」 「は? 誰がそんなことを言った!?」 「レクス様ですけど」 「違う。いや、違わないか……?」  思った以上にレクスは動揺していた。  私から返ってくるのは、冷たい言葉だけだと思っていたのだろう。  案外、レクスは単純な男なのかもしれない。    ――まあ、二十歳そこそこだし、戦ばかりやってた脳筋。女性の気持ちがわからなくてもしかたないわよね。  ここは数百歳年上(外見は二十歳後半だけど)の大魔女(ヘルトルーデ)様が、大人になってあげるしかないようだ。  大人の余裕を見せて、にっこり微笑んだ。 「わかりました。明日、アーレントたちと一緒に、レクス様に宛てた手紙を書きますね。楽しみにしていてくださいませ」 「あーれもやるー!」 「ふぃんも!」
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