6 あなた、侵入者ですよ?

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 それがよくなかったのか、侍女たちは震え上がった。 「ひっ! 血? あれは紅茶じゃなくて血なの?」 「お前たちを処刑してやるぞってこと?」 「た、助けて……!」  怖がらせすぎてしまったらしく、侍女たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。 「ちょっとした冗談だったのに……」    私の弟子なら、『ヘルトルーデ様の血の色は赤ですか? 緑ですよね?』なんて、面白い冗談を言ってくるところだ。  なお、私の血は赤で緑ではない。 「冗談が通じないのね」  がっかりだわと思いながら、紅茶を飲んだ。  お金持ちな国ルスキニアだけあって、いい茶葉を使っている。     「皇妃様。頼まれていた道具を持ってまいりました」  ハンナが紙と絵筆、黒の絵の具を持って庭に現れた。  でも、ハンナが用意できた絵の具の色は黒色だけだった。 「申し訳ありません。絵の具が欲しいと侍従にお願いしたのですが、黒色しかいただけませんでした」 「そう……」  ハンナは頑張ってくれたほうだ。  私の望みを皇宮の侍女や侍従は叶えたくない。
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